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老後破産の恐怖!老後の生活を守るために今やるべきこと

人生100年時代と言われる現代で、老後破産は他人事ではありません。
それなりに収入や貯蓄がある世帯でも老後破産になる恐れは十分あります。
ここでは老後破産を引き起こしてしまう主な原因と解決策をお伝えしていきます。
自分やご家族がこのような事態に直面しないよう、今のうちからできることを実施していきましょう。
なお、現時点で深刻に悩まれている方や、実践しているがなかなか経済状況が改善されない方は、お金の問題に詳しいファイナンシャルプランナーや弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
目次
老後破産って何?どうして起こるの?
老後破産とは、老後に生活資金に困り破産すること、あるいは破産してもおかしくないほど追い込まれた状況のことです。
具体的に何歳以上や収入○円以下と決まっているわけではありませんが、高齢者の貧困問題を象徴する言葉として使われています。
総務省が公表している2019年の「家計調査報告」では、二人以上の世帯のうち高齢無職世帯(世帯主が60歳以上の無職世帯)における1ヶ月あたりの可処分所得(いわゆる手取り収入)の平均は21万281円です。
一方、消費支出の平均額が24万3,260円となっているため毎月32,979円の赤字になっています。
この平均額を見ると年金収入だけで賄おうとするのは難しいことがわかります。
ある程度貯蓄してきたとしても、病気や子どもの学費、親の介護費用、車や家電製品の買い替えなどで思わぬ出費が重なってしまい、預貯金が底をついてしまう可能性もあります。
これは今に限った話ではなく、将来老後を迎える若い世代も直面する重大な問題です。
老後破産の大きな原因の1つが年金支給額が先細りしていることです。
日本の年金制度は賦課方式を採用しており、今の高齢者を現役世代が支える構造になっています。
しかし、少子高齢化に伴い年金を収める現役世代が減り、年金を受け取る高齢者が増えているため、年金支給額が減少していきます。
また、消費税が引き上げられたこともあり、今までと同じ生活レベルの維持が難しくなっているのです。
高齢になるとケガや病気が増えるため医療費の負担も増えます。
高齢者の医療負担は原則1割から2割になっていますが、それでも頻度が増えれば家計を圧迫します。
自分自身やご家族の介護の問題もあります。介護施設の入居費用や月額費用は高額で、これも大きな負担になります。
そして、老後になると収入を得る手段が限られていきます。体力が落ちるので仕事は減りますし、稼げる額も減っていきます。
現役時代とのギャップに苦しむ人も少なくありません。ケガや病気になれば仕事もできなくなりますから、歳を重ねるほど働きづらくなっていきます。
このように収入を増やしづらい現状や思わぬ出費などが重なることで、誰でも老後破産になる危険性があります。
老後破産のリスクを最小限に抑えるために、今のうちからできることを実践していかなければなりません。
老後破産に陥りやすい人の共通点
誰でも起こりうる老後破産ですが、特に注意すべき人の特徴があります。
1.貯蓄がない
老後に使える貯蓄がなければ年金収入に頼るしかなく、支出を抑えなければすぐに生活は苦しくなってしまいます。
年金保険料の滞納があれば受け取れる年金額も少なくなるので、さらに苦しくなることが予想されます。
ちなみに、2018年に金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)」によると、30代単身者の平均貯金額が317万円、中央値が40万円です。
同じ調査で30代単身者約4割は貯金ゼロという結果も出ています。
つまり、今の30代の少なくとも4割もの人が老後破産の危険性を抱えていることになります。
2.生活レベルを落とせない
収入が減少しているのに現役時代と同じような生活をしていると赤字額が増えていきます。
時間ができるので旅行などに行ける機会も増えますが、その後の生活のことも考えながら、計画的に使っていく必要があります。
3.住宅ローンが残っている・負担が大きい
晩婚化に伴い、家を購入するタイミングも遅くなるため、定年までに住宅ローンの支払いが終わらないケースが増えています。
定年退職金や老後資産が返済に回されるようになるので、手元に残る費用が減り、破産に追い込まれる恐れがあります。
住宅ローンを完済したとしても修繕費やリフォーム代などが発生する場合もあるので、住まいの費用が大きな負担になる可能性があります。
4.子どもの教育費・生活費がかかりすぎている
こちらも晩婚化に伴い、定年後も子どもが高校生・大学生というご家庭が増えています。
教育費は大きな支出ですから思うように貯蓄できない可能性があります。
また、子どもが長く自立しない状態だと生活費もかかってしまいます。子どもにはできるだけ早く経済的に自立してもらいましょう。
5.ケガや病気になってしまう
高齢化するとケガや病気になる機会も増えます。少し転んだだけで大きなケガになるようなことも起こってきます。
経済的な余裕がなければ治療に専念できず、医療費の負担を気にして病院に行かなくなってしまうケースも多々あります。
病院に行くのを我慢してしまえば病気が重くなり、より大きな負担になってしまうかもしれません。
また、本人だけでなくご家族や親戚がケガや病気になり、ケアが必要になることもあります。
定期的な健康診断や予防などの健康管理を徹底するとしても多少の費用は発生しますが、ケガや病気になるよりは抑えられます。
体力があれば仕事も続けられますから収入も確保できます。日頃から体調管理に気をつけることで老後の経済的負担を軽減できます。
6.熟年離婚をする
熟年離婚をすると、専業主婦の期間やパートの労働期間によって年金額が少なくなることがあります。
年金分割制度はありますが、婚姻期間中の厚生年金のみが適用されます。
自営業者等で国民年金しかない場合は制度の適用対象外になるため分けられません。
別居することになれば引っ越しの費用が発生しますし、その後の生活は1人でどうにかしなければなりません。
一人暮らしになると食生活や生活リズムも乱れがちになるので、病気になり医療費が増えることも考えられます。
若い頃ほど体力もありませんから、お互いに貧しくなってしまう恐れがあります。
7.投資に使いすぎてしまう
老後資産を少しでも増やそうと株や不動産、投資信託などに挑戦する方もいます。
しかし、何も知識がないまま慌てて投資してしまうと、運用実績によっては元本割れをして損をする可能性があります。
また、投資や資産運用を謳ったセミナーや商品やサービスは悪質なものも多く、詐欺被害に遭うリスクもあります。
投資を行う際は生活費を圧迫しない余剰資金のみで行うように意識して、しっかり勉強しながら慎重に行うようにしてください。
老後破産を防ぐ!今から実践できること
老後破産を防ぐにはどのようなことをしたら良いのでしょうか?また、仮に老後破産に追い込まれた場合はどうするべきか?具体的な対策をお伝えしていきます。
1.貯蓄を増やす
老後2000万円問題が話題になりましたが、リフォームや車の買い替え、介護費用などを想定すると3000万円程度が必要です。
もちろん60歳までに3000万円用意できれば理想的ですが、公的年金プラス月5万円程度余裕が出るよう計画することが重要です。
老後資産を増やすためには、以下の制度や商品を活用すると効果的です。
財形貯蓄制度
給与から天引きして貯蓄する制度です。会社が提携している金融機関にお金を預けておきます。
「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の3種類があり、目的に合わせた資産形成ができます。
給与天引きで貯蓄を行うので、ついつい使ってしまうような事態を防ぐことができます。
また、一定の貯蓄金額までは利子が非課税になる優遇措置もあるため確実に貯蓄したい方にはおすすめです。
つみたてNISA
つみたてNISA口座を開設して運用すると、投資で得られた売却益や分配液が非課税になります。
投資上限額が年間40万円、投資できる期間が2037年まで積み立てられるようになっています。
2020年から上限枠の40万円を毎年積み立てると、40万円×18年=720万円の投資元本を積み立てることができます。
銀行の積立式定期預金
勤務先に財形貯蓄制度がなく、投資には少々抵抗がある方は銀行の積立式定期預金を検討しましょう。
毎月決まった額を自動的に引き落とし、定期預金として運用してくれます。
2.老後に受け取れる年金額を増やす
公的年金だけでは満足に生活できない不安があります。先述したデータでわかる通り多くの高齢者が年金収入よりも支出が多くなっており、預貯金を切り崩して生活しています。
確定拠出型年金(iDeCo含む)や国民年金基金などの私的年金に加入すると老後に受け取れる年金額を増やすことができます。
節税効果を期待できるものもあるので検討してみてください。
3.健康的な生活を心がける
健康であることで経済的にもメリットがあります。医療費が抑えられるだけでなく、定年後も仕事を続けられるようになるので預貯金をしっかり蓄えることができます。
禁酒・禁煙に努めることで、年間の酒代・タバコ代を削減でき、老後資産を効率よく貯められるようになります。
4.不測の事態が起きた時の相談先を把握しておく
たとえ上記の方法で用意していたとしても、病気や事故などの予想外の事態に混乱する可能性があります。
お金の問題はなかなか相談できず1人で抱え込みがちです。近隣の方やご家族では解決が難しい場合もあるので、お金の問題に詳しい専門家に相談しましょう。
専門家は個人情報を本人の同意なしに第三者に提供することはありません。安心してご相談ください。
商品やサービスに関するお悩みは消費生活センターへ
悪質商法の被害(詐欺やボッタクリなど)に遭った際は消費生活センターに相談しましょう。多重債務の相談窓口にもなっています。
将来のお金に関するお悩みはファイナンシャルプランナーへ
これからどのように貯蓄していけばいいか?
老後資産を増やすために、自分にあったプランを提案してもらいたいのであればファイナンシャルプランナーに相談しましょう。
日頃の収支の見直しや、保険や光熱費などの固定費の見直しなども行ってくれます。
借金や離婚、相続など法的な相談は弁護士へ
借金返済や離婚、相続などのトラブルは弁護士に相談しましょう。トラブルが長引くと精神的な負担も増します。
できればトラブルになる前か軽微なうちに相談しておき、トラブルを最小限に抑える工夫をしましょう。
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それでも苦しい場合は自己破産・生活保護を検討しましょう
自己破産や生活保護は「生活困窮者の自立と再出発を図る」国の制度です。終わりではなく再スタートのための制度ですから、本当に苦しいのであれば頼ってください。
上記の専門家は、状況によって自己破産や生活保護の提案や申請のサポートを行ってくれます。
社会保障に頼るべきかどうかも含めて、専門家に判断してもらうと確実です。
老後破産は決して他人事ではなく、誰でも起こりうることです。
今から自分やご家族の生活を見直して、将来の自分が困らないように対策を講じていきましょう。
この記事の監修者

渋谷 和比古
3歳から12歳まで養護施設で育ち、家族が幸せであるためにはお金が必要との思いを強くする。
養護施設を出てからは不安定な生活が続き、お金の大切さを益々感じるようになる。 ファイナンシャルプランナーとして大手外資系保険会社に就職。一か月でトップセールスマンとなり、会社の歴代記録を塗り替える。現在は大手企業のクライアントも多く持ち、海外金融を含めた財務・会計サービスを日本のお客様に提供している。Earth’sGroup株式会社の代表を務める。
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